ニジダイコクコガネの仲間
Phanaeus and related species
■ Diabroctis Gistel, 1857
採集地:ブラジル・パラ州(Brazil, Pará)
大きさ:28mm
チリとエクアドルを除いた南米を中心とした本属で、本種と似たような種が他に4種いる。本種はその中でももっともふつうにみられる種類。牛や馬、人の糞に集まる。
■ Oxysternon Laporte, 1840
採集地:ペルー(Peru)
大きさ:24mm
南アメリカ北部の低地に分布する普通種。早朝から夕方まで活動し、主に動物の糞に集まるが、死体にも集まることがある。見た目の美しさから、本種を「幸運の虫」と呼ぶことがある。腹側の中胸から前胸に向けて棘があるのも特徴的。
採集地:フランス領ギアナ(French Guyana)
大きさ:22mm
アマゾン川の北側に生息する種で稀ではない。日中に活動し、緑色の型も知られている。不思議なことにミドリツヤダイコクコガネと一緒に採集されることはないという。
■ Coprophanaeus Olsoufieff, 1924
採集地:ブラジル・リオデジャネイロ(Brazil, Rio de Janeiro)
大きさ:31mm
ブラジルの東海岸を中心に分布している大型種。次の3種とまとめて、Megaphanaeusという亜属にまとめられる。最近牧草地の広がりとともに生息地が狭くなってきている。メスも角を持つが、次の3種と比べると小さい。主に動物の死体を食べる。
採集地:ペルー(Peru)
大きさ:39mm
アマゾン川流域に広く生息している、本属で最も大型(50mm以上になることもある)で青い光沢をもっている種。薄暗い時間帯の飛翔し、暗い環境だと青い光沢が目立つという。メスはオスと見分けがつかないくらいの角を持つ。普通種。糞以外にも動物の死体や腐ったヤスデの死骸に集まる。
採集地:パラグアイ(Paraguay)
大きさ:39mm
大型のニジダイコクで40mmを超える個体も珍しくない。メスにも大きな角があり、自分が掘った産卵用のトンネルにほかのオスやメスが入らないよう、角を使って戦う。
採集地:アルゼンチン・チャコ州(Argentina, Chaco)
大きさ:30mm
アルゼンチン北部とその周辺国に分布する種でウスアオオオダイコクコガネより小型の代置種。大型のオスは前胸に二つの角を持つが、小型になるとこの角がなくなりメスとの区別がほぼできない。
採集地:パラグアイ(Paraguay)
大きさ:18mm
サファイアを思わせる強い金属的輝きを持つ。ただ、次の個体のように必ずしもサファイア色ではなく、変異がある。南アメリカ東海岸を中心に分布し、本属ではもっとも普通にみられる。
採集地:アルゼンチン・ミシオネス州(Argentina, Misiones)
大きさ:17mm
前種と同種で色違いのもの。主に南部で標高が高いところでこのような赤色の個体が見られるという。主に動物の死体を食べるが、人糞にも集まる。
採集地:パラグアイ(Paraguay)
大きさ:25mm
アマゾン川流域に生息し、糞と動物の死体の両方を食べる。多くの文献でまちがえてjaciusという名前で別種が載っており、混乱されることが多い。
採集地:ブラジル・ミナスジェライス州(Brazil, Minas Gerais)
大きさ:20mm
写真は小型のオスで、頭部の角がメスのように縮小してしまっている。大型のオスには他の種のように頭部に短い角がある。ブラジルの東海岸一部に生息する種。
採集地:ブラジル・ミナスジェライス州(Brazil, Minas Gerais)
大きさ:24mm
ブラジル東部からアルゼンチン北部まで広く分布する種。前胸に鈍い青色が入る。
採集地:アルゼンチン・エントレリオス州(Argentina, Entre Rios)
大きさ:22mm
アルゼンチン北部を中心に分布。動物の死体を食べ、メスは器用に死体を切り刻んで糞球のような育児球をつくる。よく見ると体は青みがかっている。
■ Phanaeus MacLeay, 1819
採集地:ペルー(Peru)
大きさ:18mm
長細い角を持っているのが特徴。体は強い光を当てると緑がかって見える。
採集地:パラグアイ(Paraguay)
大きさ:16mm
本種と次種は頭部の先が二股に分かれており、また前胸の角も湾曲していて本属の他の仲間と形が異なる。将来違う属として扱われる可能性もあるのではないであろうか。
採集地:アルゼンチン・コリエンテス州(Argentina, Corrientes)
大きさ:14mm
前種と同じ種と考えられていたが、近年独立した種として扱われるようになった。なお、この個体は小型の種なので、前種との比較にはあまり使えない。
採集地:エクアドル(Ecuador)
大きさ:15mm
錆びた鉄のような模様をしているのが特徴。次種に似るが、頭部の角の基部が太くなることで区別ができる。
採集地:ペルー(Peru)
大きさ:17mm
前種によく似るが、頭の角の基部が太くならないのと、より多くの赤色が入ることで区別ができる。
採集地:ベネズエラ(Venezuela)
大きさ:18mm
ニジダイコクコガネの仲間はこのように前胸が丸っこくなる種と、角がとがって三角形になる種がいる。
採集地:メキシコ・ベラクルス州(Mexico, Veracruz)
大きさ:15mm
前胸の角が複雑な種。赤から緑へのグラデーションがとてもきれい。近年この亜種が独立種とされることがある。原名亜種は次の通り緑色一色となる。
採集地:メキシコ・ゲレロ州(Mexico, Guerrero)
大きさ:14mm
tridensとしてよく知られているのは、前種のmoroniであるが、原名亜種はこちらの緑一色のタイプとなる。
採集地:メキシコ・ゲレロ州(Mexico, Guerrero)
大きさ:14mm
前種によく似るが、本種は前種の分布から離れていて、より西側に生息している。
採集地:メキシコ・ベラクルス州(Mexico, Veracruz)
大きさ:15mm
ミツバニジダイコクコガネに似るが、前胸の中央から出ている突起がよりシンプルで、色も赤っぽい金属色一色である。一方、見る角度によってはすべて緑色に見える。
採集地:メキシコ・ハリスコ州(Mexico, Jalisco)
大きさ:15mm
濃い緑色をした美麗種。特に頭部から前胸にかけては輝きも強い。ここにある個体は中型の個体で角の発達がいまいちである。
採集地:グアテマラ(Guatemala)
大きさ:15mm
前種の亜種、もしくはシノニムとなる可能性がある。前胸の中央にある角はミツバニジダイコクコガネと同じく二股に分かれているので、ミツバニジダイコクコガネなのかもしれない。
採集地:アメリカ合衆国・バージニア州(USA, Virginia)
大きさ:18mm
ニジダイコクコガネは前胸が三角になっている種が多くいるが、このように黒くなる種はかえって少ない。
採集地:ニカラグア(Nicaragua)
大きさ:18mm
前胸の角が非常にユニークな形をしたニジダイコクコガネ。この仲間の中では光沢が最も強い。
採集地:メキシコ(Mexico)
大きさ:19mm
次の種のメキシコニジダイコクコガネによく似ている。青から緑へのグラデーションが非常に美しい。輝きはメキシコニジダイコクコガネより少し鈍いように見える。
採集地:メキシコ・ベラクルス州(Mexico, Veracruz)
大きさ:20mm
メキシコに分布する中型のニジダイコクコガネ。色はこの個体のような緑から赤い個体まで変異がある。
採集地:グアテマラ(Guatemala)
大きさ:21mm
この標本はかなり大型の個体。トリケラトプスを思わせるような体形が特徴。
採集地:メキシコ・メヒコ州(Mexico, Mexico)
大きさ:15mm
アメジストニジダイコクコガネに似るがより小型で色も黒色に近い青色。これでも比較的大型の角を持っている。
採集地:メキシコ・オアハカ州(Mexico, Oaxaca)
大きさ:14mm
前胸が緑、翅は濃い青色をしたツートーンのおしゃれな種類。この個体はやや小型で角も小さい。ニジダイコクはカブトムシのように角の大きさが色々とある。。
採集地:アメリカ合衆国・アリゾナ州(USA, Arizona)
大きさ:17mm
前胸の突起が内側に2つあるのが特徴。緑の光沢が大変美しい種。ニジダイコクの翅は種類によって筋が入ったり入らなかったりするが、このように筋が無い種は輝きが強いような気がする。
採集地:アメリカ合衆国・フロリダ州(USA, Florida)
大きさ:17mm
次の2種と近縁だが、光沢が一段と強いのが特徴。次の2種と並び、他のニジダイコクコガネの仲間とは違うグループに分けられる。
採集地:アメリカ合衆国・フロリダ州(USA, Florida)
大きさ:17mm
北アメリカ広くに分布する美しいニジダイコクコガネ。飼育などもされており、生態は詳しく知られている。前胸は角度によって赤く見える。
採集地:アメリカ合衆国・テキサス州(USA, Texas)
大きさ:15mm
ミイロニジダイコクコガネに似るが、前胸上部の角はあまり突き出ないのが特徴。
■ Sulcophanaeus Olsoufieff, 1924
採集地:ペルー(Peru)
大きさ:35mm
ユニークな角を持っていて、他の種と一見で見分けることができる。本属の中で最大種となる。アマゾン川流域広く分布し、南はパラグアイまで生息する。生息地では稀ではない。主に夜に活動し、動物の死骸や糞に集まる。
採集地:ベネズエラ(Venezuela)
大きさ:21mm
ベネズエラとコロンビアに分布する。メキシコニジダイコクコガネに似るが、前胸の角の形が違う。メスも頭に二股の角がある。カピパラやワニなどの糞に集まり、朝夕の暗い時間に活動する。属名のSulcoというのは、Sulcate(筋)から来ており、前翅に筋が入っていることから由来する。
採集地:メキシコ・プエブラ州(Mexico, Puebla)
大きさ:19mm
前胸は金属的赤、翅はつや消し黒のおしゃれな種。本属の中では最も小さい種とされている。低標高の常緑樹林に生息し、主に夜間に活動すると報告されているが、稀に昼間でも観察されることがあるという。
採集地:アルゼンチン・カタマルカ州(Argentina, Catamarca)
大きさ:20mm
パラグアイ、ボリビア、アルゼンチンに分布し、牧場などで特に牛の糞で普通に見られる。色の変異がある。ニジダイコクコガネの仲間でもっともあでやかな種。色も角度によって緑から黄色、赤に変化し大変美しい。
採集地:アルゼンチン・カタマルカ州(Argentina, Catamarca)
大きさ:20mm
アルゼンチンのアンデス山脈の東側に分布し、この属の中では最大になる。分布が限られ珍しい種だが本種が見られる場所では夕暮れに沢山の個体が飛翔するところを見られるという。一見黒い個体に見えるが、光を当てるとこのようにうっすらと青みを帯び、個体によっては緑っぽくなるものもいる。
採集地:パラグアイ(Paraguay)
大きさ:20mm
ベーツニジダイコクコガネより東側のアルゼンチンに広く普通に分布する。ダーウィンが南アメリカで観察したという「糞虫」は本種と考えられている。さまざまな環境に適応しており、夕方に飛び回る習性を持つ。この標本はかなり大型の個体で、前胸の角の発達が著しい。