今回採集した、小さなクワガタを見てみると、なかなかかっこいい種類がいてびっくりした。まず、2種類はサメハダクワガタ(Pycnosiphorus)属のクワガタで同属に20種類位チリに生息している。チリハネナシクワガタ(Apterodorcus)属やドウイロクワガタ(Streptocerus)属同様、チリにしかいないクワガタの仲間だ。いずれの種類も生息地は局部的で、採集地を知っていないと見つけるのに苦労をするという。サメハダクワガタ属のクワガタの大きさは、大きいもので20mm、小さいものは10mmほどと大きくならない。

もう一種はムナツノクワガタ?(Sclerostomus)属で、私はその格好を見て、ぶったまげてしまった。チリに同属は2種類生息しており、その他ブラジルにもS. tuberculatusという種類がいるという。

そして、チリハネナシクワガタ(Apterodorucus)属が一種。合計4種類の結果となった。


クワガタ収穫品

【フィリッピサメハダクワガタ Pycnosiphorus phillippii

小さい種類なのだが、前胸と翅にオレンジ色の縁がある洒落た奴だ。非常におとなしく、触ると脚を縮めてしまう。全長1センチ程度でVIII Regionの特産種。11月から12月にかけて発生。


オレンジの縁があるんだけど、見にくいね。

【アリグッティサメハダクワガタ Pycnosiphorus arrigutti

今回最も多く採集できた種類。普通種と思っていたが、セルジオ氏に言わせると、こいつはこいつで珍しいとのこと。大きさはこの仲間としては大きく2センチ弱。結構強気で写真の通り、いっちょまえに威嚇する。同じくVIII Regionの特産で発生は11月から12月。


威嚇はしているけど、触角はビビっている(^^)。

【ククラタスムナツノクワガタ Sclerostomus cucullatus

こいつは、すごい。こんなショッキングな昆虫を見るのは久しぶりで、世界にはまだまだ自分の知らない色々な昆虫がいるもんだと感心してしまった。メスは上記2種とあまり変わらないのだが、オスはカブトムシの様な角が前胸から出ている。VII RegionからXI Regionに生息しており、発生時期は10月〜3月。同属にもう2種類あるが、角があるのはこいつだけ。小さい個体になるとカブトムシ同様、角が小さくなる。

【クロヒョウタンクワガタ(チリハネナシクワガタ) Apterodprcus bacchus

チリのドルクス。非常におとなしく、過密状態で飼育されても、喧嘩することがない。VI RegionからX Regionのブナの森に生息していて、成虫は6ヶ月くらいの飼育記録がある。セルジオ氏は日本のクヌギやコナラでも飼育可能と考えている。発生時期は11月から2月。

翅は融合されていて、おそらく飛ぶことは出来ない(名前からして分かるか(^^;))。ビューティークワと共に非常におもしろい話がある。

以上4種類。半日の採集にしてはいい方だ。セルジオ氏がいなければ、ボウズであったこと間違いなし(もしくは、犬に噛まれていたか)。

因みにチリでクワガタを採集するのであれば11月末から12月中旬頃が一番採れるそうだ。但しその時期にチリクワは採れない。チリに採集に来るコレクター達は、チリクワとチリギンジャノメを狙ってくる人たちが多いが、この2種の発生するのは2月で、他の種類は殆どシーズンが終わっている。このため「チリには昆虫が全然いない」と思われることが多いのだという。


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