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イトランセセリ族(Megathymini)のページ

■北米から中米に少し変わった暮らしをするセセリチョウの仲間です。


北アメリカ南部から中央アメリカにかけて、イトランという変わった植物を食草とするセセリチョウの仲間がいます。体が大変太く、触角も先が丸っこいため、独自の科にされたり、蛾の仲間として扱われたりしたことがあります。

■イトランセセリ属(Megathymus Scudder, 1872)

イトランを食草として、主に春に発生する大型のセセリチョウです。その飛翔力は強く、強靭な筋肉により時速100kmで飛ぶことが出来るといわれています。卵は芽を出したばかりの若い食草の葉に産み付けられ、孵化した幼虫は芯を食べ進んで育ちます。蛹になるころにはトンネルが出来、蛹はそのトンネルの中を上下移動することが出来ます。このように蛹が移動するのは大変珍しいことです。



【イトランセセリ】Megathymus yuccae martini D.Stallings & Turner, 1956 ♂♀(表・裏)
アメリカ合衆国(カリフォルニア州) California, USA 前翅長 mm / mm
San Diego Natural History Museum所蔵


Stallingsia Freeman, 1959


Aegiale C. & R. Felder, 1860


Turnerina Freeman, 1959


■アメリカオオセセリ*属(Agathymus Freeman, 1959)

イトランセセリと違い、アメリカオオセセリ属はリュウゼツランの仲間を食草として、秋に発生します。卵は食草のまわりにポロポロと産み落とされ、孵化した幼虫はリュウゼツランの厚い葉の先のほうからもぐりこみます。しばらくして大きくなった幼虫は、今度は根元のほうに移動してトンネルを作ります。そこで下から出てくるリュウゼツランの蜜を吸って育ちます。トンネルの中で蛹になりますが、蛹になる前に出口を作り、そこに吐いた糸で作った「ふた」を作ります。なお、アメリカオオセセリの蛹はイトランセセリの様に上下に動くことは出来ません。蛹から羽化した蝶はトンネルのふたを開けて出て、外で翅を広げます。

リュウゼツランの仲間にはテキーラというお酒の原料になるものがあります。テキーラの中に幼虫が入れられていることがあり、アメリカオオセセリの幼虫と思われることが多いのですが、実際には別の蛾の幼虫であることがほとんどです。


▲(左)カリフォルニアオオセセリの卵。下が産まれたばかりの緑色の卵。 上は少し時間がたった白い卵。
(右)リュウゼツランの葉にもぐりこみ始めたカリフォルニアオオセセリの1令幼虫。

▲(左)カリフォルニアオオセセリの「ふた」。
(右)葉から切り出した蛹。



【アメリカオオセセリ*】Agathymus neumoegeni mcalpinei (H. Freeman, 1955) ♂♀(表・裏)
アメリカ合衆国(テキサス州) 前翅長 mm / mm
San Diego Natural History Museum所蔵



【カリフォルニアオオセセリ*】Agathymus stephensi (Skinner, 1912) ♂♀(表・裏)
アメリカ合衆国(カリフォルニア州) 前翅長 mm / mm


▲砂漠の地面でじっとしているカリフォルニアオオセセリのメス。
体の模様が保護色となって見えにくい。


▲カリフォルニアオオセセリの蛹を採集する様子です。


参考文献

  1. Warren, Andrew D., Ogawa and Brower. 2009. Revised classification of the family Hesperiidae (Lepidoptera: Hesperioidea) based on combined molecular and morphological data, Systematic Entomology 34: 467-523.
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