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メンデルの遺伝法則

遺伝の話をするときに「メンデルの遺伝法則」という言葉をよく聞きます。ここでは、メンデルの遺伝法則を蝶の例で見てみましょう。
混乱を招いて申し訳ありませんが、ここではメンデルの遺伝法則を分かりやすく説明するため、架空のモンキチョウの白いメスを劣性としていますが、実際には黄色いモンキチョウのメスが劣性型です。


遺伝とは

遺伝(いでん)とは、ある生物の形や、性質を(両方合わせて「形質(けいしつ)」と呼びます)親から子に受け継ぐことです。生物は遺伝子(いでんし)を親から子に受け渡すことで、その形質を子孫に伝えていくことが出来ます。


遺伝により親から子にその形質が受け継がれる。

遺伝子はDNA(デオキシリボ核酸(かくさん))の塊という形で、DNAは更にヒストンというたんぱく質の一種に巻き付き、そしてそのDNAが巻き付いたヒストンもらせん状となり、染色体(せんしょくたい)を形どります。この染色体が細胞の核に納められ、その生物がどの様な形になり、どの様に行動するかなどの情報を細胞に伝える機能があります。

多くの生物はオスとメスが、それぞれの半分の染色体を卵と精子に渡し、その互いの遺伝子を半分ずつ受け継いだ子孫が生まれます。人間の場合、46本の染色体があり、みなさんは、お父さんやお母さんの染色体を23本ずつ受け継いでいますので、「お父さんに似ているね」とか、「お母さんそっくりね」などと言われることになる訳です。

メンデルの遺伝法則

オーストリアの僧侶・植物学者であった、メンデル(Gregor Johann Mendel)はエンドウ豆などを研究しているときに、かけ合わせ方によって遺伝にある法則性があることを発見しました。残念ながら、彼が生きている間に世界で認められませんでしたが、1900年に複数の学者らによってこの法則が証明されました。

メンデルの法則には第一法則、第二法則、第三法則があります。第一の法則は優劣の法則と呼ばれ、第二は分離の法則、第三は独立の法則です。

優劣(ゆうれつ)の法則

遺伝子の話をするときに、遺伝子型(いでんしがた)という表現があります。これは、「ある特徴に影響する遺伝子」を表した言葉です。例えば、Aという遺伝子は翅が黄色くなる遺伝子で、aという遺伝子は翅が白くなるといった場合、オスとメスからひとつずつ受け継ぎ、子は「AA」、「Aa」、「aA」、「aa」といった四つの遺伝子型が発生します。また、生物によってはもっと複雑な、「AAaa」や「aaAA」等といった遺伝子型もあります。

さて、ここでは架空のモンキチョウを例にとってみましょう。「AA」という遺伝子型を持った黄色い翅のオスと、「aa」という遺伝子型を持った翅が白いメスがいるとします。これらの蝶が精子や卵を体内で作るときは、「AA」のオスはこれを一つずつ分けて「A」と「A」の精子を作り、「aa」のメスは同様に「a」と「a」の卵を作ります。よって、このペアが受精した時は、「A」+「a」の「Aa」という遺伝子型を持った子孫が誕生します。


黄オス(AA) + 白メス(aa)
↓         ↓
精子(A)      卵(a)

子供(Aa)

しかし、この特徴の違う遺伝子を二つ受けた子供の翅の色はどうなるのでしょう?「A」=黄色という遺伝子と、「a」=白色という遺伝子。この時「A」の遺伝子が優性遺伝子(ゆうせいいでんし)であれば、子供の翅の色は全て黄色くなります。そして、「a」の様に存在していても、優性遺伝子によってその働きを抑えられてしまうものを劣性遺伝子(れっせいいでんし)と呼びます。優性・劣性とありますが、決して劣性遺伝子が優性遺伝子より劣っている遺伝子という意味ではないので、気を付けてください。

この現象を「劣性の法則」といいます。

通常優性遺伝子は英字大文字で、劣性遺伝子は英字小文字で表されます。

ところで、モンキチョウの仲間はメスにしか白い型は現れません。これについては、また後ほど解説します。

分離(ぶんり)の法則

上記の例を続けて見てみましょう。AAの遺伝子を持つ親とaaの遺伝子を持つ親が交配したとき、産まれてくる全ての子供はAa型の遺伝子を持ちます。すなわち、全てのメスはAa、すなわち黄色くなります。これらの子供は第一代、または(えふいち)と呼ばれます。

では、このF同士を交配させるとどうなるでしょう。AaのオスはAの遺伝子を持つ精子と、aの遺伝子を持つ精子を作り出します。そしてAaのメスも同様にAとaの卵を作り出します。こうして産まれた子供、すなわち第二代、または(えふに)はその組み合わせからAA、Aa、aaという遺伝子を持ちます。aaの遺伝子を持つメスは、A遺伝子によってその働きが抑えられないため、翅を白くするという働きが出来ます。よってここで白いメスが発生するわけです。

この様に第一代で現れなかった特徴が第二代で現れる事を「分離の法則」と呼びます。

  
黄オス(Aa) +  黄メス(Aa)
↓          ↓
精子(A)又は 精子(a)  卵(A)又は 卵(a)


    
黄メス(AA)   +   黄メス(Aa/aA)  +  白メス(aa)
    
黄オス(AA)   +   黄オス(Aa/aA)  +  黄オス(aa)
(モンキチョウの場合、オスは白型が出ないため全て黄色となる)

ちなみにこのパターンで、メスの中で白いモンキチョウが発生する確率はAA(黄)+Aa(黄)+aA(黄):aa(白)で3対1となります。

独立(どくりつ)の法則

上の例以外に、例えば翅の形が変わる遺伝子があるとします。すなわち遺伝子型Aやaと違う、遺伝型Bとbがあり、BB/Bb/bBが普通の翅の形で、bbは翅の形がギザギザになるとします(あくまでも空想の例ですが)。この様に違う遺伝型がそれぞれ独立して子孫に遺伝することを「独立の法則」といいます。

この場合、産まれてくる子供は

  1. 黄色くて普通の翅(AABB, AaBB, aABB, AaBb, aABb, AabB, aAbBなど)
  2. 黄色くてギザギザの翅(AAbb, Aabb, aAbb)
  3. 白くて普通の翅(aaBa, aabB, aaBB)
  4. 白くてギザギザの翅(aabb)

の4種類が見られます。


ここで紹介した例はメンデルの法則のみで、最近では決して全ての生物が上記法則に従っているわけではないことが分かっています。

詳しく遺伝のことについて知りたい場合は遺伝学電子博物館を参考にしてください。


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