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標本を作ろう:続き

展翅した蝶は、触角など揃えて、乾燥させます。完全に乾けば出来上がりです!


触角を整える

触角は標本をかっこよく見せるポイントです。怠らず、きれいに仕上げましょう。触角の整え方は、前翅縁と平行もしくはそれより内側に整えると、かっこよく見えます。触角が不揃いの標本は、見かけが良くありません。展翅が終わったら、ラベルをそばにとめておきましょう。ラベルを後日用意しようとすると忘れることがあります。必ずすぐに用意しましょう(経験者は語る・・・)。触角は上の写真のように展翅テープを利用したり、針で調整したりします。

腹部の高さを整える
触角の他に気をつけるのは、腹部の高さです。これはできるだけ平行にしたほうが見栄えが良くなります。腹部の高さは、留め針を交差させて腹部をのせたり、押さえたりして調整します。脱脂綿を使う方法もありますが、時々腹部から出た体液などが付着して脱脂綿が腹部にくっついてしまう場合もあるので注意してください。軟化展翅した蝶の場合、腹部がすでに固まっているので調整しやすいのですが、生展翅の場合、展翅して暫くしてから、下がってきたり上がったりするので、展翅後もこまめにチェックする必要があります。

乾かす

基本的に昆虫類の標本は薬品処理する必要がありません。日陰で乾かせばすぐにできあがります。乾かす時間はその時期の温度、湿度と蝶の大きさによって、左右されますが、2〜3週間位が目処です。私はどんな蝶でも1ヶ月は乾かし、展翅板からはずすときも、できるだけ湿度の低い日を選んでいます。乾燥中は日光をさけ、暗い場所に保管しておきます。特に太陽光線は、蝶の羽の色を退色(たいしょく)させるため、絶対にさけてください。また、展翅中にゴキブリなどが蝶を食べてしまうことがありますので、この様な害虫にも気をつけておきましょう。
日本の夏は、湿度が非常に高いため秋までおいておくのも手です。逆に湿度が極端に低いところ(アメリカのコロラドなど)では、1〜2日で乾いてしまう場合もあります。

展翅板からはずす

展翅板から蝶をはずすときは、なるべく湿度が低い日を選び、はずした標本はラベルを付けて標本箱に移します。展翅板から蝶をはずす時に気をつけなければならないのは、留め針を丁寧に抜くことです。あまり大ざっぱに勢い良く針を展翅板から抜くと、触角が折れたり、思わぬところで羽が破けたりするので気をつけましょう。特に針を抜くときに展翅テープも一緒に持ち上がることがあるので気をつけましょう。

ラベルを付ける.

ラベルは特に決まったフォームはないのですが、蝶の名前、採集場所、採集日、採集者が分かればどんなラベルでもOKです。

ラベルは、出来れば外国の人が見ても分かるように、英語で書いておくと良いでしょう。

         例:

  

標本箱には常にナフタリンなどの防虫・防かび剤を入れて、標本を食べる虫や、カビから守りましょう。


▲標本に虫がつくと、この写真のように食べかすが下に落ちます。
すぐに標本をチェックして、虫を取り除きましょう。
この標本にはカツオブシムシの幼虫がついていました。

 こんな時は・・・

(1)首が曲がっている。

アゲハチョウなど頭部が横長の蝶は三角紙に入れておくと、頭部が曲がったままになってしまい、触角などが整えにくくなることがあります。

シジミチョウのような小型の蝶や生展翅の蝶はできるだけ多くの針を使い頭部を整えましょう。

軟化展翅の蝶や中型・大型の蝶については少し荒っぽいのですが、0号の針を首や頭部の上から刺し、曲がった頭を整え、そのまま針を展翅板の底などに刺します。蝶が乾いた後に、羽や触角を抑えていた留め針をすべて抜いてから、最後にこの針を回しながら抜きます。先にこの針を取ろうとすると、触角が折れたりしますので気をつけましょう。

(2)前翅の翅脈の根元が折れて、整形できない。

軟化展翅の時に時々経験しますが、基本的に羽(特に翅脈)が柔らかくなってしまったのが原因と思われます。羽を乾かしてから展翅しなおすとうまくいく場合がありますが、その場合触角も乾いてしまうのが難点です。対処方法を色々と模索中ですが、これについて対応方法を知っている方がいたらぜひ教えてください。

(3)蝶の筋肉が硬直していて、整形しても羽が元の形に戻ろうとしてしまう。

軟化展翅で多いのですが、軟化不足が主な原因です。とりあえず蝶が柔らかくなるまで軟化処理をしましょう。長い間軟化処理をしていて、これ以上すると蝶が腐ってしまう場合は、羽を留め針で固定するときに、厚紙を3mm四方に切ったものと一緒に留めれば、羽が固定できます。それでも羽が戻ろうとする場合は、乱暴ですが、戻ろうとしている方向の出来るだけ反対側の翅脈に、0号の針を使って羽を刺し止めてしまいます。少し羽に穴があいてしまいますが、それほど目立ちません。ただし、あまり無理をして展翅しても、留め針をはずした時に少し戻ってしまうことがあります。

この様な羽の硬い蝶を展翅するときは、羽を整形している内に、だんだん胴体を留めている虫ピンが斜め前に傾いてくることがあるので、蝶を展翅板に留めるとき少し後ろ斜めに刺すとちょうど良くなります。

(4)前翅が変わった形をした、蝶の展翅。

蝶の種類によっては、前翅の形に特徴があり、アゲハチョウなどと同じように展翅が出来ないものがあります。迷うことがあれば、図鑑などを参考にするのがよいでしょう。良く、「あれ?」と思う蝶の中には、アオスジアゲハや東南アジアのワモンチョウの仲間、南米のフクロウチョウの仲間などがあります。

(5)触角が折れてしまった。

触角が折れてしまった場合などは、あわてず、折れた触角を取っておきます。展翅が終わってから、触角を木工用ボンドなどでくっつけなおしましょう。こつは、ボンドなどをつけすぎないようにすることです。特に触角の真ん中で折れてしまった場合は、ボンドをつけすぎると乾いた後にコブみたいになって醜くなりますので気を付けましょう。

展翅した後、針などがじゃましているのであれば、蝶が乾燥するまで小さな三角紙などに入れて、展翅板の蝶のそばに刺しておきましょう(保管すると、忘れたり、どの蝶の触角か分からなくなるときがあります)。


▲折れた触角にボンドをつける。

ポイント

・出来るだけ多くの蝶を、1つの展翅板で展翅するには。

蝶の前翅は種類によって形や大きさがまちまちで、展翅をするときどれだけ上がってくるか、予想がしにくいものが多くあります。このため、展翅をしていると、どうしても蝶の間に大きな隙間が空いたりしてしまいます。なれてくれば、うまく蝶を詰めて、一つの展翅板により多くの蝶を展翅することが出来ますが、なれないと中々難しいものです。

一方、後翅のほうは展翅の時にあまり動かすこともなく、展翅後の形が予想しやすいのです。より多くの蝶を一つの展翅板に展翅したいときは、展翅板の下から展翅していくと、うまく蝶を詰めて展翅することが出来ます。ただ、展翅は少しやりにくくなりますが・・・。

・蝶がくるくるまわる。

軟化展翅した蝶に多いのですが、標本にした後、蝶が虫ピンに固定されておらず、簡単にくるくると回ってしまうことがあります。蝶が簡単に針からはずせる状態になっています。そのまま標本箱に入れておくと、他の標本にあったって壊れたりしますので、虫ピンを使用して、腹部を固定します。木工用ボンドなどで固定するのも一つの方法です。

 他の展翅の方法。

・脱脂綿を使った展翅。

薄く引いた脱脂綿の上に、蝶を乗せて形を整え、プラスチックフィルムなどで包む方法があります。よく、海外のおみやげ屋さんなどで見ることがありますが、蝶の裏側が見えなかったり、虫が付きやすかったりするので、学術的にはおすすめできません。

・糸を使った展翅。

一部の海外の博物館では、展翅テープの代わりに糸を使用するところがあります。この展翅用法は少し乱雑で、一頭用の展翅板に蝶を固定し、留め針で羽をさし止め、糸で羽を縛る方法です。早いと2〜3分で一頭のスピードで展翅が出来ると言われています。

標本の管理

完成した標本は標本箱など密閉された箱などに保存します。箱の中は乾燥していることが重要です。また、標本を好んで食べる虫(カツオブシムシなど)がいますので、これら害虫を寄せ付けないために防虫剤を入れておきます。

一部の標本は体から油が染み出てくることがあります。そのような時は油染み取り作業を行います。→油染みの取り方



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